歌は歌詞があるので、メロディに乗せて意味を伝えることができる最高の表現方法です。
意味があるので、聴いた人はその意味を考えながら歌を聴くことになります。
では楽器による演奏はどうでしょうか?
楽器の音では意味を表現することはできません。
しかし、意味が表現できないことは決してデメリットではないと私は考えます。
なぜなら聴く人の数だけ解釈の数があるからです。
また言語を理解しない他の文化圏においても解釈の差はありません。
意味が表現できないからこそ自由な解釈の余地があるのです。
そして演奏者にとっても、意味を持たない音だからこそ表現力が問われます。
楽器の選択、チューニング、奏法、エフェクト処理等によって与えたい印象を表現します。
作曲者や演奏者が意図した表現は正確に伝わらなくても、
聴いた人の心の中でそれぞれの印象を感じられたらそれで良いと思います。
作品はリスナーの自由な解釈で育っていくのだと思います。
誰しも思い入れの深い曲を自分の中で育てたことが多少なりともあるはずです。
創る側、演奏者がそのような想いを曲に織り込むことによって表現力が高まります。
想いが伝わって、その表現が誰かの特別な宝物になると良いですね。